日本の近くでは、韓国や台湾が徴兵制度を維持していることで知られています。
しかし、実はタイにも徴兵制度が存在するということをご存じでしょうか?
タイの徴兵制度は世界的に見ても少し特殊で、抽選(くじ引き)によって兵役が決まるという独特の仕組みを採用しています。
毎年4月になると全国各地で徴兵抽選が行われ、ニュースやSNSでも大きな話題になります。
タイに長く住んでいると、同僚や友人から「今年は徴兵の年なんだ」といった話を聞くこともあります。
タイ社会を理解するうえで、この制度は意外と重要なテーマなのです。
今回は、タイの徴兵制度の仕組みや背景、そして社会的な意味について分かりやすく解説します。
タイ徴兵制度の基本仕組み

タイでは原則として21歳になった男性が徴兵対象となります。
大学進学や特別な事情がある場合は延期も可能ですが、最終的には抽選の対象になります。
徴兵は毎年4月に実施され、各地方の会場に対象者が集められます。
そこで行われるのが有名な「くじ引き」です。
抽選箱の中には赤い紙と黒い紙が入っており、
・黒い紙 → 兵役免除
・赤い紙 → 兵役決定
という仕組みです。
つまり、人生の数年間を左右する結果が、その場の抽選で決まるのです。
会場には家族や友人も集まり、緊張した空気の中で一人ずつくじを引きます。
赤紙を引いた瞬間に泣き崩れる家族、安堵して抱き合う友人など、その光景は非常にドラマチックです。
兵役期間と志願制度

兵役期間は通常2年間とされています。
ただし、最終学歴によっては1年に短縮される場合もあります。
また、タイには志願制度も存在します。
自ら志願して入隊する場合、一定の条件のもとで兵役期間が短縮されることがあります。
毎年、軍が必要とする兵士数が定められており、志願者がその人数に達した場合は抽選自体が行われない地域もあります。
そのため、対象者全員が必ず入隊するわけではありません。
近年では志願者の増加や制度改革の議論もあり、社会的な関心は年々高まっています。
タイ社会における徴兵の意味

タイの徴兵制度は、単なる軍事制度というだけでなく、社会的・文化的な側面も持っています。
地方では徴兵抽選の日が一種の「大きな行事」のようになっており、家族総出で会場に訪れる光景も珍しくありません。
若者にとっては人生の分岐点であり、家族にとっても重要な節目です。
一方で、制度の公平性や必要性については議論も続いています。
職業軍人制度への移行を求める声や、制度改善を求める意見もあります。
それでも現時点では、この制度はタイ国家の防衛体制の一部として機能し続けています。
タイを深く知るためには、この徴兵制度を理解することは欠かせないと言えるでしょう。
まとめ
タイの徴兵制度は、日本ではあまり知られていないものの、タイ社会においては非常に重要な制度です。
特に4月は徴兵抽選のニュースが多く流れるため、タイ在住者であれば一度は話題に触れることになるでしょう。
また、自衛隊で勤務経験がある日本人の方であれば、タイ人男性と軍隊の話題で非常に打ち解けやすいという側面もあります。
国や制度は違っても、「軍隊」という共通の経験やテーマは距離を一気に縮めるきっかけになります。
タイという国をより深く理解するために。
そしてタイ人との会話の引き出しを増やすためにも、徴兵制度について知っておくことは大きな意味を持つでしょう。