タイでビジネスを行う日系企業において、契約書や発注書への「直筆サイン」と「社判(カンパニーシール)」の押印は、長きにわたって根強い商習慣となっています。
しかし近年、業務効率化やリモートワークの普及に伴い、タイでも「電子サイン(電子契約)」の導入を検討する企業が急増しています。
その際、経営層や管理部門の方から必ず挙がるのが「タイで電子サインは本当に法的に有効なのか?」「裁判や税務調査で証拠として認められるのか?」という疑問です。
結論から申し上げますと、タイにおいて電子サインは法的に完全に有効です。 本記事では、タイの「電子取引法(ETA)」の基本と、実務上どの書類が電子化できるのかを分かりやすく解説します。
タイの「電子取引法(ETA)」とは?
タイでは、2001年に施行された「電子取引法(Electronic Transactions Act:通称ETA)」によって、電子データや電子署名の法的な有効性が明確に定められています。
この法律により、「データが電子形式であるという理由だけで、その法的効力や強制力を否定してはならない」と規定されており、紙の契約書と同等の法的証拠力が認められています。
法的に有効と認められるための「2つの要件」
ただし、単にPDFに手書きサインの画像を貼り付けただけでは、法的な証拠力としては不十分になるリスクがあります。
タイの法律上、安全な電子サインとして認められるには、主に以下の2つの要件を満たすシステムを利用することが重要です。
① 本人性の担保(誰が署名したか)
「確かに本人が合意した」と証明できること。実務上は、個人のメールアドレスへの送信履歴や、システム上のアクセスログ(IPアドレスや時刻など)を記録することで本人性を証明します。
② 非改ざん性の担保(改ざんされていないか)
「署名後に書類が書き換えられていない」と証明できること。専用の電子サインシステムを使えば、署名完了時に「電子証明書」が付与され、その後の変更ができない仕組みになっています。
実務上「電子化できる書類」と「できない書類」
タイの法律上、実務で発生するほぼすべての書類を電子化することが可能です。
【電子化できる書類の例】
〇企業間の基本契約書、秘密保持契約(NDA)
〇発注書、納品書、請求書
〇雇用契約書
社内の稟議書、各種申請書
【電子化できない書類の例】
一部の例外として、役所での特別な登録手続きが必要な書類は、現在も紙での手続きが求められます。
〇不動産の登記に関する書類
〇家族法・相続に関する書類 など
税務調査(歳入局)への対応はどうなる?
日系企業が最も懸念する「タイ歳入局(RD)の税務調査」においても、電子契約のデータは証憑として認められます。
タイでは日本と異なり、電子契約であっても印紙税の対象となる書類には印紙税がかかります。しかし現在は「e-Stamp Duty」というオンライン納付システムが普及しており、電子サインで締結したデータと納税記録をセットで保管しておけば、税務調査時に紙に印刷することなく、電子データの提示のみで対応が可能です。
まとめ:まずは身近な「社内書類」から第一歩を
タイにおける電子サインは法的な裏付けがしっかりと整備されており、すでに多くの企業がペーパーレス化を実現しています。
「全社一斉に電子化するのはハードルが高い…」という場合は、まずは相手のいない「社内の稟議書」や、やり取りの頻度が高い「特定の取引先との発注書」など、スモールスタートで試してみるのが失敗しないコツです。
弊社では、タイの電子取引法に準拠し、タイ語の書類にも対応した電子契約システム『a2sign』の導入サポートを行っております。
「自社のこの書類は電子化できる?」「タイ人スタッフでも簡単に使える?」など、ご不明な点がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
| ✅ 法人スマホは、ベリーモバイルにお任せください!
<お問合せ先> |